2020年12月6日朝刊 The GUAM Daily Postより抜粋、要約

 

グアムの失業率は2019年第3四半期の3.6%から、今年6月には過去最高の17.3%に達した。グアム労働統計局が70年代半ばに失業統計を開始して以来、グアムで記録された過去最高の失業率になった。

 

グアム労働局チーフエコノミストのゲイリー氏は、グアム商工会議所(GEDA)が主催する2021年の経済予測を説明するウェビナーで、ビジネスや金融の専門家と共に講演し、6,000人近くの雇用が観光業や関連事業で失われ、失業者は連邦政府のパンデミック失業支援および関連プログラムによって支援されていると述べた。

 

17.3% の失業率は27,000 〜30,000件のPUA申請者と比較して低いように見えるのは、時間を短縮して働いている人々が除外され、PUAを取得している人の約43.8%にあたる。またパンデミックの間は仕事探しの要件が免除されているため、失業率には雇い止めにあっている人や仕事を探していない人が含まれていないと言う。

 

ASCトラストとグアム経済開発局理事会のデビッド氏は、「かなりの数の世帯がパンデミック中も仕事を維持し、収入を使う場所がないため現金を残している。つまり旅行や消費にに対する需要が膨らんでいる」と述べた。

 

危機はチャンスを生む
「危機はチャンスを生む」と、グアム商工会議所兼カルボ・セレクトケアのフランク氏は言う。グアム商工会議所のシンクタンクはグアムの経済多様化のためのアイデアを開発し、コロナ後の経済構造を形作るだろうと述べている。シンクタンクは、短期から長期的な目標を持った10の潜在的な新産業を特定し、その実施に向けたアクションプランに取り組んできた。

 

これには、代替紛争処理(訴訟手続によらない紛争解決方法を広く指すもの)、キャプティブ保険、グアム信託法、建設労務、船舶修理、安全な港、アジアからの富裕層や企業の移転、医薬品製造業の米国領土への移転、シリコンビレッジの取り組み、衛星打ち上げ、農業と養殖などが含まれている。GEDAのメラニー長官は、パンデミックに先立ち、政権はすでに農業と養殖を強化に向けて動きはじめ、2021年以降もさらに拡大していくと述べた。

 

建設コストの増加
不動産評価アドバイザリー会社のシスカ氏はグアムの最初の11ヶ月間の不動産販売額は3億8400万ドル、2019年と比較して12%減少し、5億6000万ドルだった2016年以来の低さだったと述べた。これらは主に供給が限られていることと、請負業者や建設労働者が限られているために建設コストが高いことが起因している。同じ理由で、一戸建て住宅の平均も昨年の299,000ドルに比べて9%上昇して325,000ドルになった。

 

パンデミックにもかかわらず、グアムでは2020年にアガナハイツの108万ドルのアパートから、台湾企業によるタモンの3580万ドルのオーシャンフロント物件まで、いくつかの重要な不動産販売の取引があった。

 

ビジネスを始めるには良い時期
シスカ氏はグアムは観光業が再開し、経済が多様化することの必要性にも言及し、「2021年は新しいビジネスを始めるには本当に良い時期だと思います」と述べた。

 

大麻産業の観光業への影響に関しては、グアム政府観光局(GVB)理事会のアダ氏はタモンやホテルエリア、ビーチサイトでの大麻の広告、販売、使用に反対を繰り返している。

 

明るいニュースである台北経済文化事務所の再開は新しいチャンスをもたらす可能性を秘めている。現在、2021年の第一四半期にグアム知事率いる代表団を台湾に派遣することが検討されており、新しい航空会社が台湾からグアムに飛ぶことになっていると述べた。

 

「過去10ヶ月の間に学んだことがあるとすれば、何でもいつでも変更できるということです。COVID-19の新規陽性者率が下がったにもかかわらず、グアムがまだパンデミック下にあります。どうか警戒を怠らないでください」とシスカ氏は付け加えた。


大きな方向性を見据えてこそ
個々がチャレンジが報われる!

 

今日のニュースも突っ込みどころ満載の記事でした。2020年に取り上げたニュースからいくつか取り上げただけで新しいこと事案はなく、また日々感じる市民の肌感覚でもわかるようなことも多いです。

 

そもそも実体が見えない失業率に何の意味があるのか?タモンのオーシャンフロント物件についてはコロナ前の今年初頭に成立していた案件。一つ一つのデータを精査して分析して伝えないと、現状に対する誤解を招く心配も…..。なによりちょっと待ってと思ったのが、最後の「何でもいつでも変更できる」というコメント。私は長期の展望や方向性への共通認識ができないまま闇雲に手をつけることが多くの成果を上げてこなかった要因ではないかと常々思うのです。

 

発言者は市民を励ます意味で送った言葉なのでしょうが、個々の努力の積み重ねがグアム全体の経済や雇用に結びつき、グアムの社会構造に重層的な厚みや競争力を高めることにつながるようにするには、行政の明確な指導力やリーダーシップの元で個人が挑戦しないと大きな成果や継続性は得られません。そのためには中長期の展望を示すことが大切です。

 

大麻など観光産業の行方さえ左右するような事案であれば、いつでも変更できるなんてことでは済まされません。日本のみなさんの意識にどれほどグアムのイメージが定着しているのでしょう?長年かけてこそ根付く文化や風土こそがグアムの大切な観光資源なのですから…..。

 

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