2021年9月7日朝刊The GUAM Daily Postより抜粋、要約

 

グアムではCOVID-19の感染が深刻化しており、病院のベッドが足りなくなってきている。1日の新規感染者数は100~200人の間で推移しており、ワクチンを接種していない人だけでなく接種済みの人も病院に運ばれている。デルタ型は今回の急増の原因のうちの1つになっている。

 

グアムでは12歳以上のワクチン接種率が81%近くあり、4月頃から感染者数が減少していたにもかかわらず、新規感染者や入院者が急増している。グアム知事の諮問機関であるPhysicians Advisory Group(PAG)の前議長であるグエン医師は、感染力の高いデルタ型、政策決定、戦略的テストの遅れ、一般市民へのメッセージの発信など、様々な要因が重なっていることが新規陽性者急増の原因であると述べている。

 

グエン医師によると、8月初旬までに集まりに起因する新たな症例とデルタ型変種の拡散が確認されたため集まりの上限を25人に即時引き下げることを推奨した。グアム知事は木曜日にナサニエル・バーグ博士を諮問委員会の新しい議長に指名したが、グエン医師はワクチン接種の義務化についてグアム知事と意見を異にしていた。屋外で25人、屋内で10人という集まりの制限は後になって検討されたもので、グアム知事の命令が発効したのは8月30日だった。

 

それ以来、新規感染者数は1日で206人と過去最高を記録し、入院者数も増加、さらに死亡者も報告されている。グエン氏は屋外や屋内での社交の場を制限する一方で、バーを100%の収容人数で営業させることは矛盾しており、バーやその他の夜間営業施設は、クラスターの発生源として知られているとしている。「バーのオーナーには申し訳ないのですが、島全体が前進できるように制限を設けなければなりません。そうしなければ、病院の入院患者数は増え続けるだろう」と述べた。

 

グエン医師が議長を務めていたPAGは、8月初旬に顧客のワクチン接種状況を確認しないことを選択した場合、企業には稼働率を下げるという選択肢を与えるよう提言した。しかしグアム知事は、レストランやジムなどを利用する場合のワクチン接種を義務付け、ワクチンを接種していない住民の利用すを制限する命令を出した。グエン医師によると、ワクチンを接種している人もしていない人と同じように、症状がなくてもCOVID-19の原因となるウイルスに感染し、感染する可能性があるという。

 

グアム政府のデータによると、完全にワクチンを接種した人の感染より、接種していない人の感染率ははるかに高いという。グアム保健省は日曜日、9月3日に検査した785検体のうち、新たに93件のCOVID-19症例を報告し、COVIDエリアリスクスコアは46.8となった。

 

戦略的な検査
グエン医師によると、グアムではCOVID19感染を15分以内に結果が出る迅速検査の利用など、「戦略的な検査」に移行するのが遅れていると言う。そのため検査後24~36時間経っても人々が歩き回っており、8月には感染が拡大したと言う。

 

「陽性であると言われたら、家に隔離されます。しかし、結果が出るまでに時間のかかる検査を行っていることで、ウイルスの感染が拡大してしまったのです」とグエン医師は述べている。ここ数週間、毎日1,000人以上のほとんどの人が結果が出るまで時間がかかるティヤンの旧カーニバル会場にあるドライブスルーでPCR検査を受けた。

 

グエン医師は戦略的検査への変更だけでも、現時点では急増を抑えることができると述べており、さらにグアムではモノクローナル抗体治療が現地で利用できるようになっているという。グアム保健省は金曜日、この治療法やその他の対策により、今後数週間で感染者数の急増は減少に転じるだろうと述べた。COVID-19に感染した住民は、現在REGEN-COVブランドのモノクローナル抗体治療を点滴または注射で受けることができる。

 

ブレイクスルー症例
8月のCOVID-19の陽性反応は1,765件。そのうち約59%の1,041人がワクチン未接種であったが、32%の559人がワクチン接種を完了していた。残りの9%(165人)はワクチン接種状況が不明。グアムでは8月の感染者急増時にワクチンを接種した人の「ブレイクスルーケース」も増加したが、ワクチンを接種していない人の方が6倍多い。

 

ブレイクスルー症例とは検査報告日の少なくとも2週間前に完全なワクチン接種を受け、その後COVID-19の陽性反応が出た人を指し、ワクチン接種は集団免疫ではなく、集団予防としている。

 

入院
COVID-19ワクチンの接種は重症化や入院、死亡率を抑えることができるがワクチンは100%ではない。金曜日の時点で、入院したCOVID-19患者51人のうち33%、つまり17人がワクチンを接種していた。8月にはワクチンを接種した患者の入院がCOVID-19の入院総数の40%以上を占めていた。ワクチン接種で状況が変わったのは、昨年と比較して今年の死亡者数が減少したことだ。

 

2020年12月までワクチンがない状態では約130人の死亡者が出ており、そのほとんどが基礎疾患のある人だった。今年は9月1日時点で25名の死亡者が出ている。25人の死亡者のほぼ全員がワクチンを接種しておらず、完全にワクチンを接種していたのは、複数の基礎疾患を持つ高齢女性の1人だけだった。

 

デルタ型はより感染力が強く、悪性であるため、データの多くが置き換わった。それに対してワクチンはオリジナルのウイルスに基づいて作られたものだ。グアムで起きていることは、ワクチン接種率の高い他の州でも起きていることで、グアムの状況の特徴は肥満や糖尿病、高血圧や心血管疾患が死亡に至る主な要因であるということ。

 

グアム保健省の広報はワクチン接種の影響をより正確に把握するためには、長期間にわたるより多くのデータが必要であるとし、島の多くの人がワクチン接種を完了したことで警戒心が緩み、再び多くの人が集まり始めたという。

 

感染の波を制御
グエン医師は、現在のグアムで見られる新規陽性者の急増は最後にはならないだろうと述べ、今後もさまざまな種類のインフルエンザが発生する可能性があり、グアムはそれらに備えるべきとしている。「今、私たちがするべき最も重要なことは、次の変化に備えて、どのように感染の波を抑制するかを計画することです。基本的には、陽性の場合は迅速に通知されるような戦略的な検査計画を立てる必要があります。2つ目は急増の可能性があると判断したら、すぐに集まる場所を制限することです」と言う。

 

第3に、COVID-19の原因となるウイルスは誰もが感染する可能性があるため、ワクチンを接種した人としていない人がともに協力することをメッセージとして伝えるべきだと述べている。「ワクチン接種を受けた人と受けていない人を隔離するというメッセージを出したことで、ワクチン接種を受けた人が集まることを許してしまった。それは間違いです。なぜなら、ワクチン接種を受けた人は症状が出ないかもしれませんが、ウイルスを感染させる可能性があるからです。」と言う。

 

教育と計画
グアムでも米国の他の地域と同様に、ブースター・ショットの提供を準備している。グエン医師は、なぜ3回目の予防接種を受けることが有益なのか、というメッセージを人々に伝える必要があるとし、グアム保健省、グアム国防軍、民間クリニックが協力して実施、そして、3回目の予防接種を受けるためのシステムを構築しなければならないことを付け加えた。

 



withコロナ時代をうまく
乗り切るための行政指針を。

なるほど知事の医療チームリーダー辞任の裏にはこのような意見の相違があったのですね。前議長さんは一年ほど前から空港での抗原検査を提唱しており、私も15分ほどで結果が出る抗原検査を空港で実施することで検疫要件を緩和し、人の移動を一定程度継続できる環境を整えることを支持し、このブログでも何度か書いてきました。今となっては一年前の昔話ですが……なんだか懐かしい。

 

そして飲食を中心としたサービスの収容人数100%を継続することやこれらの利用にワクチン接種を利用条件とする措置についても意見が異なったことが辞任の背景にあったのですね。はっきりとした答えがあるわけでないので、人それぞれ考え方が違うのは仕方ないのかもしれませんが、今後の感染抑制や対応の指針については前議長さんの言う通り戦略的なプランが聞きたいですね。こうなったやこうするというような指針があれば、多くを止める前に警戒心が広がり島民自身が感染をコントロールできるしくみ、必要ですね。

 

 

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