2021年3月28日朝刊The GUAM Daily Postより抜粋、要約
ヤマセニコルさんは今月初め、太平洋諸島出身者として初めてマリアナ海溝のチャレンジャー・ディープの最深部に到達し、歴史に名を残した。ループロスペリティ・ミクロネシアによると、海面下35,856フィート(10,928.909m)の同エリアに到達した3人目の女性となる。ニコルさんとベスコボ氏は、深海潜水艇「リミッティング・ファクター」で、4時間かけて3万5700フィートの海底に潜り、2時間かけて海底を探索した。
ポンペイ出身の29歳のニコルさんは、チューク、パラオ、サイパンで育った後、現在はハワイ大学マノア校の博士課程に在籍している。海に囲まれた環境で育った彼女は子供の頃、父と一緒によくシュノーケリングをしていた。この分野に進むきっかけとなったのは父の影響だという。太平洋の「美しい海」で過ごしたことが、海洋学への愛着が深を深めた。
ニコルさんのチャレンジャー・ディープ(海淵）への旅には、世界の海の最深部まで潜ることで知られる世界記録保持者のビクター・ベスコボ氏が同行した。また、ミクロネシア保全トラストが提供するビル・レイナー・ミクロネシア・チャレンジ奨学金の受給者であり、ミクロネシア連邦を代表して航海するよう依頼された。
航海は5週間に渡って行われ、ニコルさんは海洋へのインスピレーションの源となった父のカヌーの模型とヤップ島の航海士だったピウス・”パパ・マウ”・ピアイルグに敬意を表しカヌーを持っていった。また、ネイティブ・ハワイアンで初めて科学の博士号を取得したイザベラ・アボットの写真や、ミクロネシアの海草や藻類の解明に貢献した海洋植物学者の写真も持参した。
「月に行ったことはありませんが、本当に宇宙にいるような気がしました。まるで『スター・ウォーズ』の中にいるような感覚でした。他の惑星にいるように見え、そこは砂漠のようにも見えました。非常に細かいシルトや岩が散乱している。しかし、私たちは生命体を見ることができませんでしたが、岩石や堆積物を採取した過去の研究では、微生物のマットが生息していることを発見しており、生命体が存在していることをお伝えしたいと思います。」とニコルさんはコメントした。
「海底にゴミが落ちているのを見て、私たちがいかに無責任であるかを痛感しました。海をきれいに保つためには、私たち全員が一丸となって取り組まなければなりません」とも語っている。ニコルさんの研究はサンゴ礁に焦点を当てていますが、彼女が収集した貴重な水と堆積物のサンプルを分析し、海洋で最も深いとされる地点周辺の科学的文献に貢献したいと考えているという。また、今回のチャレンジャー・ディープへの旅の目標の一つは、より多くの太平洋諸島の人々が科学、技術、工学、数学の分野を志すきっかけになることを願っているという。
太平洋地域出身者の
世界的な快挙、おめでとう！
グアムから船で約45分の場所に世界で一番深い海溝「チャレンジャー海淵」があります。水面下200mから深海と呼ばれ、1,000mでは全く光が届かない暗黒の世界が広がります。あのタイタニック号が沈んでいるのが3.800mの地点、チャレンジャー海淵は10,911mの地点になります。チャレンジャー海淵へ世界で初めて人類が潜水したのが1965年、アメリカ人研究員２人が人類初の快挙を成し遂げました。その後は数度、無人で機材を潜水させ海淵の研究を進めました。そして2012年にはターミネーターやアバターの映画監督ジェームスキャメロンがトレーニングを積んでチャレンジャー海淵へ到達、有人深海探査を成し遂げ話題になりました。
近年、技術の向上や機材の安全技術がほぼ確立したのか、チャレンジャー海淵への挑戦が続いています。2020年6月7日には元宇宙飛行士のキャサリン・サリバン氏が、チャレンジャー海淵に到達した初めての女性となりました。この時点で史上8人目とされていたので、今回のニコルさんは10人目ぐらいになるのでしょうか？素晴らしいです。おめでとうニコルさん！！
水中では10メートルごとに1気圧かかり、一万メートルの深海では1平方センチあたり1トンの気圧がかかるため、危険が伴う調査です。生命の起源、惑星の成り立ちを解明するヒントとなる場でもあるそうなので、今後の研究成果に期待しています。宇宙へ、深淵へ、進化する科学技術は人類の平和のために役立っていってほしいですね。
*今日の画像は適当なものがありませんでしたので、研究機関からの資料をお借りしました。
ランキンングにも一応参加し始めした。
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