2020年12月7日朝刊 The GUAM Daily Postより抜粋、要約

 

新産業経済効果報告書によると、レクリエーション用の大麻は合法化された初年度に約31,000人の観光客が約130万ドルを消費すると予想されている。これは、グアムの住民が大麻に費やすと予測される1,000万ドルに上乗せされる。但し、グアム政府観光局(GVB)は主要な観光地区であるタモンでの販売や宣伝に対して反対する立場を取っている。

 

大麻取締委員会は先月、レクリエーション用大麻の規則案に関する公聴会を開催、ヒアリング中に提起された様々な問題や提案を議論し、12月17日から開催される数回のフォローアップ会議に提出される。

 

グアムでは2019年4月からレクリエーション用の大麻が合法化され、21歳以上の成人のプライベートでの使用、公共の場での所持、自宅での制限数での栽培が合法となった。しかし、規則や規制が整備され、グアム政府の販売追跡システムが稼働するまで販売は違法なままとなっている。

 

タモン地区での禁止
この法律はタモンでの大麻営業を禁止するものではなく、大麻委員会が認可された商業施設に制限数を設け許可する。また農業および工業地帯でのみ製造し商業および工業地帯でのみ販売することを許可している。

 

グアムの法律によると、タモン湾のすべての土地は1970年代後半から「Hリゾートホテルゾーン」に指定されている。提案された規則は、学校や公園、遊び場、チャイルドケアセンターなどから1,000フィート以内での大麻ビジネスを禁止している。

 

ファミリー向けのデスティネーション
GVBは公聴会中に書面による提言を提出、グアムは家族向けの旅行先として販売されているとした上で大麻産業がグアムの国際的なイメージを変えることが極めて重要であると述べた。

 

GVB理事会会長のアダ氏は大人の大麻使用が経済的利益をもたらすが、グアムの訪問者は大麻使用に厳しい罰則がある保守的なアジアの国からで事情は異なると述べた。また、ビーチ、公園、歩道、バス停、さらにはホテルの部屋に至るまで、大麻がグアムでのバケーション体験楽しむ旅行者の邪魔をするようなことがないようにする必要があると述べた。

 

大麻委員会のメンバーであるエイドリアン氏(農務省副局長)は先月、ストリップクラブ、バー、マッサージパーラーなどのアダルトビジネスがタモンで営業を許可されているとし、「グアムが経済に新たな一面を持とうとしているならば、それは必ずしも悪いことではありません。大麻取締会は業界を規制するためにあり、安全を担保します」と述べた。

 

大麻ビジネスへの反対
サンドキャッスルなど複数の観光事業を所有・運営する元GVB会長のマーク・バルディガ氏は、タモンでの大麻ビジネスに反対した。「大麻ビジネスは、時間の経過とともに観光客の大幅な減少を招くだろう。そうでないと言う人は消費者のことを知らない」と述べ、タモンのストリップクラブ及びマッサージ店で禁止されるべきであるか問題を提起した。「私がGVB の議長を務め観光事業2020をまとめた際には、理事会のほとんどが支持していた」とバルディガ氏は述べた。

 

バルディガ氏はビジネスライセンスの新発行を禁止し、今後10年間で既存のストリップクラブとマッサージパーラーのビジネスを段階的に廃止することにより、タモンからの排除を検討する必要があると述べた。代替案としてこれらのビジネスをホテルエリアから離れた「レッドライト」地区に立地させることも考えられるという。2010年に当時の副議長ベンジャミン・クルス氏は、タモン地区の区画整理を提案し、成人向け娯楽施設を設置することを要求する法案を提出したが、議会を通過しなかった。

 

オンラインで開催される次回の大麻取締会の会議は、12月17日の午後2時を予定している。


観光業復活に向けてマイナスの
施策だけはやめてください!

 

長年旅行業界に身を置き、動向を見てきた者にとって、タモン地区での大麻販売や宣伝禁止を望むのは当然のことであり、どう思わないのは観光業界を知らない人だ、といったバルディガ氏のコメントはまさにその通り。ファミリーや修学旅行、健康的で安全なイメージで誘致してきたグアムにとって、大麻の合法化すらマイナス要素であるのにタモン地区での販売なんて、愚の骨頂としか思えません。コロナ後の観光業再開に暗雲立ち込めるニュースです。

 

昨日のニュースで「過去10ヶ月の間に学んだことがあるとすれば、何でもいつでも変更できるということです」といった不動産屋さんのコメントがありましたが、いつでも変更できないのです。人々に植え付けらせたイメージはそう簡単には払拭できないのです。どうか行き当たりばったりの政策はやめてください。今後長く観光業が苦しむことになります。

 

話が変わりますが、週末に人生を好転させる映画に上がっていた2011年のフランス映画「最強のふたり」を観ました。頸髄損傷で体が不自由な富豪と、介護人となった貧困層の若者との交流を描いた実話を元にした作品。特別扱いされることが多い障害者に自然に接する介護人とのふれあいがコミカルに描かれています。コロナ禍で閉塞感が漂い、人との距離が遠くなりつつある今、人と真正面から自然体で接することの楽しさや素晴らしさを改めて感じつ作品でした。一緒に映画を鑑賞した友人たちも「今日の映画はよかった」と評価も上々。それぞれに事情や環境もまちまちですが、今の時期、だれもが心のふれあいを求めているのは確かなようです。

 

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